温度ヒューズとは? 種類と原理とダメな4つの使い方

ヒューズというと過大な電流で作動する「電流ヒューズ」を思い浮かべる方が多いと思いますが、電流ではなく温度で作動するヒューズがあるのを知っていますか?

温度で作動するヒューズは「温度ヒューズ」とよばれています。

 

走る園児
走る園児

今回は温度ヒューズの

構造、作動原理、注意点を解説しますね

温度ヒューズとは

発熱を感知し、電気回路をの電流を安全に遮断する過熱保護部品です。

ドライヤーやコタツのような加熱する電気ヒータが内蔵された電気機器には必ず温度ヒューズが使わています。

その理由は、電気ヒータは故障すると火災の原因になるためです。

電流ヒューズでは異常な発熱を直接感知して防ぐことが出来ないので、温度を感知して保護する温度ヒューズが必須になります。

設定した温度になると温度ヒューズは自己犠牲により電気回路を遮断し、通電を遮断することで更に温度が高くなり火災になるのを防いでいます。

温度ヒューズも電流ヒューズと同じように一度切れてしまうと二度とつながることはありません

電気製品を再度起動させるには、まず故障している箇所を修理してから、新しい温度ヒューズに交換しなくてはなりません。

温度ヒューズの種類

温度ヒューズは回路電流の大きさによって、種類が2つあります

可溶合金型の温度ヒューズ

回路電流が10A未満の低電流回路に使われる温度ヒューズはこのタイプです。

この可溶合金型の温度ヒューズは肝となる可溶合金を特殊樹脂で覆ったシンプルな構造になっており、その構造は電流ヒューズとよく似ています。

 

可溶合金型の原理

可溶合金の融点(固体が液体になる温度)を超えるような温度になると、

可溶合金が個体から液体に変化します。

物質が液体になると例外なく全ての物質には表面張力が働くので、

液体になった可溶合金は表面張力によって2つの球体に分かれます。

導電経路である可溶合金が2つの球体になってしまうと、導電経路が切断されることになり、回路電流が遮断されるのです。

これが可溶合金型の温度ヒューズの作動原理です。

可溶合金を覆っていた特殊樹脂は、可溶合金と一緒に液体になりながら球状になった可溶合金の周囲を被覆するように覆うことで、回路遮断部にアーク放電が発生し導通経路となることを防ぎます(消弧する)。

 

ペレット型の温度ヒューズ

回路電流が10A以上の大電流回路に使われる温度ヒューズはこのタイプです。

電流が10Aを超える回路の場合、可溶合金型の温度ヒューズでは回路遮断が完全に果たせないリスクがあるので、ペレット型のようなバネを使って強制的に絶縁距離を作る温度ヒューズに工夫されています。

ペレット型の温度ヒューズの電流経路は下図のように外角金属缶を流れています。

ペレット型の原理

温度ヒューズの温度が上昇して、感温ペレットの融点を超えると可溶ペレットは溶けてドロドロになるため、感温ペレットの厚みにより圧縮状態で保持していたバネ2が伸び広がると同時にバネ1も伸び広がることで接点電極の金属板がリード線から離れ、通電経路が遮断されます。

これがペレット型の温度ヒューズの動作原理です。

温度ヒューズの注意点(ダメな使い方)

ハンダ付け時の加熱し過ぎに注意!

温度ヒューズは電流ヒューズと違って、温度で作動します。

半田で温度ヒューズをとり付ける場合には、温度ヒューズが作動しないように短時間で取り付けるなどの注意が必要です。

水などを付着させないこと!

温度ヒューズには水などの電気が流れる物質が付着しないようにすることが重要です。

特にペレット型の温度ヒューズは外郭金属缶も通電経路になっており、封止樹脂と絶縁ブッシュの表面長さは短いので、これらの表面に水などの導電性物質が付着すると、温度ヒューズ内部は正常に作動し断線状態になっていても、導電性異物により通電してしまうリスクがあります

 

リードの曲げ加工(フォーミング)に注意!

可溶合金型、ペレット型のどちらの温度ヒューズも温度ヒューズの両端には温度ヒューズの内部に湿気や水分侵入を防止する封止樹脂があります。

この封止樹脂は金属材に比べて割れやすいので注意が必要です。

特にリスクが高いのがリード線の折り曲げ加工(フォーミング)時に封止樹脂を割ってしまう事例が多いです。

リード線のフォーミング加工を行う際には、リード線付け根をしっかりと抑えて封止樹脂を割らないように細心の注意を払って作業しましょう

もし、封止樹脂が割れてしまうと防水効果が損なわるので、温度ヒューズ内部に水が侵入し最悪の場合は作動不良に至るリスクがあります。

 

高温多湿環境の使用に注意!

温度ヒューズを自ら守っている封止樹脂は応力による割れのリスクだけでなく、樹脂である以上、劣化のリスクがあります。

浴室など常に高温高湿になる環境で使用する場合には経年で封止樹脂が加水分解を起こし防水性を損なうことがないか十分に評価検証する必要があります。

まとめ

①温度ヒューズは流れる電流の大きさによって2種類

・回路電流が10A未満の製品には「可溶合金型
・回路電流が10A以上の製品には「ペレット型

②温度ヒューズを使う際の注意点

半田時の加熱し過ぎに注意!(温度ヒューズが切ってしまう)
・水などを付着させないように!(温度ヒューズが切れない
・リードの曲げ加工(フォーミング)は注意!(封止樹脂が割れる)
・高温高湿環境での使用は注意!
走る園児
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どうでしたか?

温度ヒューズの種類や動作原理

そして使用上の注意点は分かり易かったでしょうか?

ぜひ、コメント頂ければ嬉しいです


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