アンモニアが発生するフェノール樹脂。種類と注意点

アンモニアと聞いて皆さんは何を連想されますか?

「トイレ」、「し尿」などを連想される方が多いのではないでしょうか?

この臭いアンモニアガスを出すプラスチックがあることをご存じでしょうか?

アンモニアガスを出すと言っても、おならのように一気に吐き出すのではなく、プラスチックの全表面から微量のアンモニアガスが出ているのです。

鼻が利く人でも、プラスチックを鼻に近づけてクンクン嗅いでもほとんどの人は気づかないくらい微量のアンモニアガスなのです。

でも、侮るなかれ!

塵も積もればなんとやら。

密閉した部屋などに長時間このプラスチックを置いておくと、部屋のアンモニアガスの濃度が高くなり、どんな人でも気づくようになるはずです。

濃度が高まったアンモニアガスはさまざまな問題を引き起こします。

アンモニアガスは臭いだけではなく、金属を腐食させたり、ほかのプラスチック製品を劣化させたりと様々な品質トラブルの原因となる事例も多く報告されています。

ゆきちゃん
ゆきちゃん

でも、アンモニアガスが出るプラスチックなんて、

きっと、特殊なプラスチックでしょ!

残念ながら、

アンモニアガスが出るのは一般的なプラスチックなのです。

そのプラスチックの名前は、『フェノール樹脂』と呼ばれているプラスチックです。

どの家庭でもフェノール樹脂で作られた製品や製品内の部品はあるくらい一般的なプラスチックです。

走る園児
走る園児

フェノール樹脂といっても

アンモニアガスが必ず出るフェノール樹脂

全く出ないフェノール樹脂があるよ。

今回の記事は、知らずに使うと大きな品質問題になるリスクがあるフェノール樹脂について分かり易く解説します。

この記事は10分くらいで読めますよ。
こんな方に向けて書きました。
・新人技術者
・技術者として成長したい方
・技術知識に興味がある方
・品質問題で困っていて解決のヒントが欲しい方

アンモニアガスとは

アンモニアというと”し尿”や”トイレ”を想像されますが、尿にアンモニアが最初から含まれているわけではありません。

尿に含まれる尿素が最近に分解されることでアンモニアが作られます。

新鮮な?尿はアンモニア臭くはないのです。

 

アンモニアはとても水に溶けやすいので水溶液としては液体で存在していますが、アンモニア自体は常温環境では気体(ガス)になります。

アンモニアガスは特有の強い刺激臭があり、人体には有毒です。

水に溶けやすいので水溶液になる場合が多く、水溶液はアルカリ性を示します。

 

フェノール樹脂とは

世界で初めて人工的に作り出されたプラスチックです。

プラスチックは2種類ある

プラスチックは大きく2つに分類することができます。

加熱するとドロドロに溶けてる熱可塑性プラスチックと

加熱してもドロドロにならずに硬いままの熱硬化性プラスチックです。

身近なもので例えると、

熱可塑性プラスチックはチョコーレート

熱硬化性プラスチックはビスケットをイメージすると分かり易いと思います。

フェノール樹脂は熱硬化性プラスチック

フェノール樹脂は熱硬化性プラスチックなので加熱してもドロドロになることはありません。

電気絶縁性、機械的強度、耐熱性が高いわりに安価なプラスチックなので、多くの製品に使われています。

身近なものでは、鍋の取っ手はほとんどがフェノール樹脂ですね。

フェノール樹脂は2種類ある

熱硬化性プラスチックのフェノール樹脂ですが、実は2種類あります。

走る園児
走る園児

ノボラック型のフェノール樹脂

レゾール型のフェノール樹脂の2種類あるよ。

ノボラック型のフェノール樹脂

アンモニア系の硬化剤(ヘキサメチレンテトラミン)を添加して作ったフェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂と言います。

このノボラック型のフェノール樹脂はアンモニア系の硬化剤を使っているので、どうしても余分なアンモニア系の硬化剤がフェノール樹脂に残留しています。

この残留しているアンモニア系の硬化剤があるために、ノボラック型のフェノール樹脂からはアンモニアガスが常に出ているのです

レゾール型のフェノール樹脂

硬化剤は使わずに触媒で作られたフェノール樹脂をレゾール型のフェノール樹脂と言います。

走る園児
走る園児

でもね。

レゾール型のフェノール樹脂を選べばアンモニアガスが出ないと思ったら残念ながら例外もあるのです・・・

アンモニアガスを出すレゾール型のフェノール樹脂

レゾール型でもアンモニアガスが出るフェノール樹脂は、アンモニアレゾールと呼ばれているレゾール型のフェノール樹脂です。

レゾール型は触媒を使って作られるフェノール樹脂ですが、アンモニアレゾールはアンモニア触媒を使って作られるので、どうしてもアンモニアガスが発生してしまうのです。

アンモニアガスレスのフェノール樹脂を選択するには、ノボラック型とアンモニアレゾール以外のフェノール樹脂を選ぶことが大切です。

フェノール樹脂から出たアンモニアガスによる品質問題事例

アンモニアガスによる品質問題は様々あります。

有名な品質問題を1つ紹介します。

黄銅の応力腐食割れ

アンモニアガスと黄銅(真鍮)の組み合わせは最悪です。

アンモニアガスがでるフェノール樹脂を使った部品と黄銅(真鍮)の部品が密閉空間(半密閉空間)に一緒に入っている場合、密閉空間はアンモニアガスの濃度がどんどん高まっていきます。

高濃度のアンモニア環境に応力が加わった黄銅があると黄銅は応力腐食割れと呼ばれる現象が起こり、黄銅部品が割れてしまいます。

 

また、アンモニアガスは水にとても溶けやすく、アンモニアが溶けた水(水溶液)はアルカリ性を示します。

アルカリに弱いプラスチックも多々ありますので、黄銅だけでなくアンモニアが発生するフェノール樹脂は密閉や半密閉空間に入れないようにした方が安全ですね。

まとめ

・フェノール樹脂は熱硬化性樹脂として安価で高性能

・フェノール樹脂は大きく2種類。アンモニアガスが発生するノボラック型とアンモニアガスが発生しないレゾール型がある。ただし、レゾール型でもアンモニアレゾールはアンモニアガスを発生するので要注意。

利くンモニアガスが発生するフェ近づけて脂は密閉(半密閉)空間で使わない方が安全問題を

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