チクソ性という言葉をご存じでしょうか?
チクソ性(チキソ性)は液体材料を扱う技術者にはなじみが深い言葉です。
チクソ性(チキソ性)について分かりやすく解説します。
チクソ性
チクソ性(チキソ性)の正式名称はチクソトロピー性(チキソトロピー性)といいます。
長くて言い難いので、一般にはチクソ性(チキソ性)と言われています。
『チクソトロピー性』を『チクソ性』と言っているのよ
「ケチャップ」「はちみつ」を例に、チクソ性の説明をしたいと思います。
Q「ケチャップ」「はちみつ」はどちらが混ぜ難い(硬い)でしょうか?
「ケチャップ」と「はちみつ」が入った瓶にスプーンを入れてかき混ぜてみましょう。
「ケチャップ」と「はちみつ」とでは、
どちらが混ぜ難い(硬い)でしょうか?
正解は、
A)「はちみつ」です。
「はちみつ」の方が「ケチャップ」よりも混ぜ難く硬いと感じておられる方は多いと思います。
その感覚は正しくて、実際にスプーンで混ぜると「はちみつ」はとても混ぜ難く硬いのです。
対して、「ケチャップ」はとてもサラサラしていて混ぜ易く柔らかいですね。
問題2:トーストに「ケチャップ」「はちみつ」をのせると?
それでは次の問題です。
硬い「はちみつ」と柔らかい「ケチャップ」をトーストの上にたっぷりのせたとします。
Q)トーストにのせた後、広がってトーストから垂れて流れ落ちるのは、「はちみつ」or「ケチャップ」のどちらでしょうか?
正解は、
A)「はちみつ」です。
「はちみつ」をトーストにのせて、ドロッと流れ広がりトーストから垂れた経験をされた方も多いと思います。
反対に「ケチャップ」はトーストにのせた状態のまま、形状を維持し続けます。
「ケチャップ」は「はちみつ」のようにどろっと流れ広がることはなく、いつまでものせた状態の形状のまま維持します。
このように形状維持ができるので、オムライスなどの料理に「ケチャップ」をかける際には文字や絵を描く人が多くおられるのですが、「はちみつ」で文字や絵を描く方は居ないと思います。
形状維持ができないということは柔らかいということですから、
つまり、「はちみつ」は柔らかいのです。
あれっ?
最初の問題の正解は、「はちみつ」は「ケチャップ」より硬い なのに、
次の問題の正解は、「はちみつ」は「ケチャップ」より柔らかい って
矛盾していますよね?
この矛盾の原因がチクソ性なのです。
チクソ性とは
「ケチャップ」にはチクソ性がありますが、「はちみつ」には殆どチクソ性はありません。
「ケチャップ」のようなチクソ性がある液体は力が加わると柔らかくなります。
「ケチャップ」はチクソ性があるので、スプーンでかき混ぜる(力が加わる)と柔らかくなります。
それに対して、「はちみつ」はチクソ性が無いのでスプーンでかき混ぜても柔らかさは変化しません。
スプーンでかき混ぜた場合は、「ケチャップ」だけが柔らかくなったので、相対的に「はちみつ」が硬く感じたのです。
次にトーストにのせた場合については、
「ケチャップ」と「はちみつ」のどちらも混ぜるなどの力が加わっていません。
よって、トーストにのせた場合はチクソ性の有無に関係なく柔らかさは変化しません。
素材そのものの柔らかさでは、「はちみつ」の方が柔らかいため、「はちみつ」はトーストからどろっと流れ垂れてしまったのです。
チクソ性とは、
力を加えることで硬さが変化する性質のことですよ。
チクソ性があるモノ
「ケチャップ」のほかにもチクソ性があるモノはたくさんあります。
「マヨネーズ」「ペンキ」「ハンドクリーム」など身近なモノでチクソ性があるものは多くあります。
ペンキはチクソ性があるので、
刷毛で塗るときには力が加わるので柔らかく塗りやすくなり、
塗り終わって刷毛の力が加わらない状態では硬く垂れ広がりにくくなります。
ペンキはチクソ性が大いに役立っているのです。
ハンドクリームもペンキと同じように塗るときは手や指でこすりつける力が加わるので柔らかく塗りやすく、
塗り終わって力が加わらないようになると硬く取れにくくなるのです。
チクソ性はとても役に立つ性質なのです。
チクソ性が何か?
理解していただけたでしょうか?
もっと深くチクソ性について勉強したい方にお勧めの本を紹介しますね。
かなり詳しい本ですが読みやすい本です。
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