ハンダ付けには無くてはならないフラックス
フラックスとはどんなものかを知らない方も多いのではないでしょうか?
あまり知られていないフラックスについて
わかり易く解説しますね。
フラックスの機能
フラックの機能は大きく4つあります
①酸化した金属表面の洗浄機能
目で見た感じではわからないのですが、ほとんどの金属の表面は酸化しています。
酸化した金属はハンダ付けを阻害しますので、一般に金属はハンダが付きにくいです。
しかし、フラックスがあると、金属表面の酸化物を綺麗に洗浄する機能があるので、ハンダ付けが容易になります。
フラックスは酸化した金属の表面の酸化層を除去し
ハンダ付け性を向上させる機能があります
②金属の再酸化の防止機能
酸化層を除去しても、空気があると金属表面はすぐに酸化してしまいます。
フラックスは、金属表面を覆うことで金属が空気(酸素)に触れるのを防ぐため、金属表面の酸化を防止させます。
フラックスは金属が再酸化するのを防止する機能があります。
③ハンダの濡れ性向上機能
加熱して融点を超えたハンダは液体になります。
液体のハンダは表面張力が働いて丸く球体になる力が生じるので、ボール状の球形になりやすく、そのままではハンダ付けが出来ません。
フラックスは液体のハンダの表面張力を低下させる機能があるため、フラックスを使うと溶けたハンダは丸くならずに広がり易くなります。
表面張力を低下させて、溶けたハンダが広がり易くなることを濡れ性といいます
フラックスはハンダの濡れ性を向上させる機能があります。
③ハンダの信頼性を維持する機能
金属表面を洗浄する効果を引き出すために、フラックスには活性な化学物質(活性剤)が含まれています。
この化学物質はハンダ付け後も周辺に残ったままになるので、イオンマイグレーションなど不具合の原因になります。
フラックスには樹脂(レジン)が含まれおり、プリント基板に残った化学物質をコーティングすることでイオンマイグレーションなどの不具合を防止する機能があります。
フラックスには化学物質が悪さをしないように信頼性を維持する機能があります
フラックスの種類
糸ハンダ(やに入りハンダ)
一般にハンダ付けと言えば、図のような糸ハンダをイメージする方も多いと思います。
ハンダコテを使ってハンダ付けする場合は、糸ハンダを使います。
実は、この糸ハンダの断面をよく観察してみると中心部にフラックスが入っています。
このフラックスのことを「やに」と言うこともあります。
ポストフラックス
プリント基板の工場では大量生産に適したハンダ付けを行います。
その一つが、「フローハンダ」と呼ばれている工場用のハンダ付け方です。
フローハンダでは、ハンダとフラックスが一体化した糸ハンダは使わずに、
まず、フラックスだけをスプレーでハンダ付けするプリント基板に塗布します。
このようなフローハンダにおいて、スプレーで塗布するフラックスのことを
ポストフラックスといい、フローハンダ専用のフラックスです。
ソルダーペースト
工場用のハンダ付け方法にはフローハンダ以外にもう一つ。
「リフローハンダ」と呼ばれているハンダ付け方法があります。
リフローハンダでは、ソルダーペーストと呼ばれている絵具のようなクリーム状のハンダを使います。
ソルダーペーストには、ハンダ金属(主に錫や微量の銀や銅)とフラックスが混ざっています。
リフローハンダの方法も説明するね。
まず、プリント基板にソルダーペーストをスクリーン印刷によって塗布し、その上にチップ部品(抵抗やコンデンサ)をのせて、リフロー炉(オーブンのような加熱炉)に入れることで、ソルダーペースト内のフラックスとハンダ金属を溶融させてチップ部品に濡れ広げた後、リフロー炉から取り出して冷えることでハンダが固まってハンダ付けが完成する方法です。
プリフラックス
プリフラックスは他のフラックスとは異なる主目的があるフラックスです。
ハンダ付け前のプリント基板(生基板)には、ハンダ付けする箇所ははんだが付きやすいように銅パターンがむき出しの状態になっています。
銅は非常に酸化しやすい金属ですから、銅パターンのままでは銅パターンの表面が腐食してしまいます。
プリフラックスは、このようなハンダ付け前のプリント基板(生基板)の銅パターンが腐食しないように生基板全面に塗布するフラックスです。
長期間の防錆効果は期待できませんが、短期間の銅パターンの腐食防止を目的とした保護膜形成のために塗布するフラックスです。
まとめ
フラックスの機能(4つ)
①酸化した金属表面の洗浄機能
②金属の再酸化の防止機能
③ハンダの濡れ性向上機能
④ハンダの信頼性を維持機能
フラックスの種類(4つ)
①糸ハンダ(やに入りハンダ)
②ポストフラックス
③ソルダーペースト
④プリフラックス
コメント