こんにちは!今回は、電気・電子系の勉強を始めたばかりの方や、これからエンジニアとして羽ばたく皆さんに向けて、プリント基板(PCB)の材質について、わかりやすく・楽しく・ちょっとマニアックに解説していきます!
そもそも、プリント基板って?
プリント基板とは、電子部品を載せて配線するための「土台」です。
スマホ、パソコン、電子レンジ、ドローン……ほとんどの電子機器の中に入っていて、まさに「電子機器の骨組み」と言える存在です。
そしてこのプリント基板、見た目はどれも似ていても、実は中身の素材が全然違うこと、知ってましたか?
主な基板材質の種類

よく使われる代表的な基板材を4つ紹介しましょう。
① FR-4(ガラスエポキシ樹脂)
🧪 特徴
ガラス繊維をエポキシ樹脂で固めた素材
一番メジャーなPCB材質。汎用性が高く、広く使われています。
✅ 利点
強度が高くて壊れにくい
耐熱性・耐湿性が良好
電気特性もそこそこ優秀
難燃性グレードが高く、UL94 V-0(自己消火性あり)
❌ 欠点
柔軟性がなく、曲げる用途には不向き
ハイエンド用途には電気特性がやや物足りない
💡 事例
家電製品全般(テレビ、ゲーム機、家電リモコン)
一般的な産業用電子機器
💰 コスト感
中程度(コストと性能のバランス良し)
② CEM-1 / CEM-3(紙+樹脂系)
🧪 特徴
CEM-1:紙フェノールにガラスクロスが一部混ざったもの
CEM-3:FR-4に似てるが、より白っぽくて加工しやすい
✅ 利点
安価!とにかく安い!
加工がしやすく、穴あけやすい
軽い
❌ 欠点
機械的強度が低め
耐熱性・耐湿性がFR-4に劣る
難燃性が低く、燃えやすいものもある(グレードに注意)
💡 事例
おもちゃ、安価な家電、電子教材キットなど
💰 コスト感
非常に安価(量産品向き)
③ アルミ基板(メタルコア基板)
🧪 特徴
基材がアルミニウムで、放熱性能が高い
絶縁層+銅箔+アルミ板という構造
✅ 利点
熱をよく逃がす(ヒートシンク不要なことも)
機械的に丈夫
高出力LEDや電源回路に最適
❌ 欠点
屈曲性ゼロ。折れません、曲がりません。
両面実装が難しい
高価(FR-4より高め)
💡 事例
LED照明、パワーアンプ、電源装置、モーター制御基板など
💰 コスト感
やや高め(熱設計が必要な回路なら費用対効果◎)
④ フレキシブル基板(FPC)
🧪 特徴
ポリイミドなどの高耐熱フィルムが基材
曲がる!ぐにゃぐにゃする! 特殊な基板
✅ 利点
折りたたみ・曲げ・可動部に使える
軽量・薄型
高密度実装可能(スマホやウェアラブルに最適)
❌ 欠点
製造コストが高い
信号線の制御が難しい(ノイズの影響を受けやすい)
メカ的に弱く、破れやすい
💡 事例
スマートフォン、ノートPCのヒンジ部、カメラの可動部など
💰 コスト感
高価(小型・高機能機器向け)
難燃性・着火性の比較(ざっくり表)
材質 | 難燃性(UL94) | 着火しやすさ | コメント |
---|---|---|---|
FR-4 | V-0 | 低い | 自己消火性あり、安全◎ |
CEM-1 / 3 | V-1以下が多い | 中程度〜高い | グレードに注意! |
アルミ基板 | V-0(絶縁層による) | 低い | 金属コアで燃えにくい |
フレキ基板 | V-0〜VTM-0 | 低い | 高耐熱フィルム使用 |
まとめ:どの材質を選べばいいの?
👇 迷ったときの超ざっくりフローチャート!
安く仕上げたい? → CEM-1 / CEM-3
バランス重視? → FR-4(とりあえずこれ!)
熱が心配? → アルミ基板
曲げたり折ったりしたい? → フレキシブル基板
おわりに
プリント基板の材質は、ただの「板」ではなく、製品の性能・コスト・安全性に直結する重要な要素です!
基板を選ぶというのは、エンジニアの腕の見せどころ。
最適な素材選びが、トラブルを減らし、製品の質をグッと高めてくれます。
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