積層セラミックコンデンサ(セラコン、又はMLCC)は、とても割れ易く、とてもデリケートな部品です。
積層セラミックコンデンサが割れると静電容量の低下だけでなく、
最悪の場合はショート故障になって発煙発火に至るとてもリスクの高い故障です。

今回の記事は、
たとえ割れても、ショート故障になり難く、発火し難い積層セラミックコンデンサを見極める方法を紹介しますね。
内部構造を調べる
割れた場合にショート故障になり易いかどうかを調べるには、
積層セラミックコンデンサの内部構造を確認する必要があります。

内部構造は非破壊(X線透過)ではわかり難いので、
研磨して内部構造を露わにして観察する方法が一番です
積層セラミックコンデンサを研磨(削って)して、内部構造を露わにするためには、
特殊な設備や技能が必要と思われている方も多いと思いますが、
一般の家庭にあるものを使って、短時間に研磨することができるのです。

誰でもできる積層セラミックコンデンサの研磨方法は
以下の記事で詳しく紹介しています。↓
とても簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。
積層セラミックコンデンサの形状は正四角柱の場合が多く、どの面も全く同じ見た目なので、どの面を研磨したら積層構造が確認できる面が現れるのかは誰にも分かりません。
ある程度は失敗することを想定して、複数個の積層セラミックコンデンサを研磨するれば50%の確率で積層構造が確認できる面が現れるはずです。
積層セラミックコンデンサが割れるとどうなる?
積層セラミックコンデンサが割れる原因はさまざまですが、
一番多いと言われている原因はプリント基板のたわみです。
プリント基板をたわませると下図のような実装面側の外部電極端部を起点にクラックが発生します。
プリント基板を逆の方向にたわませても、同様に外部電極の端部を起点としたクラックが発生します。
図では右側の外部電極の端部を起点としたクラックが走る図としていますが、左の外部電極端部を起点にクラックが走る場合もあります。
ショートする箇所は?
積層セラミックコンデンサのショート故障は発煙発火事故の原因となる非常にリスクの高い故障です。

基板のたわみで積層セラミックコンデンサが割れると、
どこの箇所でショート故障になるのかを説明します。
ショート故障を起こすのは全てアクティブエリア内です。
アクティブエリアとは?
積層セラミックコンデンサの内部構造は、洋菓子のミルクレープのような積層構造をしています。
例えば、左の外部電極を+(プラス)、右の外部電極をー(マイナス)に接続した場合を仮定すると、内部構造および各部の極性は下図のようになります。
内部構造の中央部のみが内部電極(+)と内部電極(ー)が交互に存在しているエリアがあります。
このエリアがあることで静電容量が得られコンデンサになっているのです。
このエリアをアクティブエリアといいます。
アクティブエリアが積層セラミックコンデンサの心臓部なのです。
プリント基板がたわむことでアクティブエリアにもクラックが走ってしまうと、
電極がずれてしまい、異なる電極同士が接触してショートが起こってしまうのです。
クラックは時間差でショートすることもある
プリント基板がたわんで割れてもショート故障にならない場合があります。
それは運よく、異なる電位の電極が接触しなかった場合ですが、安心はできません。
経年で使用環境中の水分がクラック内にたまり、水分によってショート故障になるのです。
アクティブエリアにはクラックが生じないことがショート故障のリスク低減にはとても重要です。
ショート故障になり易い積層セラミックコンデンサとは?
アクティブエリアの幅で見極める

Q1)下の絵のような断面をした積層セラミックコンデンサAとBがある場合、
どちらの方が割れた場合にショート故障になり難いでしょう?
答え:Bの方がAに比べて割れてもショート故障になり難い積層セラミックコンデンサです。
その理由は、AとBのアクティブエリアの幅を比較するとBの方が幅が短いためです。
アクティブエリアの幅が広いほど、割れた場合にクラックがアクティブエリアに発生する可能性が高くなります。
アクティブエリアに発生するクラックの長さがショート故障になるリスクと同義です。

アクティブエリアは出来るだけ短い積層セラミックコンデンサの方が安心ですね。
外部電極の長さで見極める

Q1)下の絵のような断面をした積層セラミックコンデンサCとDがある場合、
どちらの方が割れた場合にショート故障になり難いでしょう?
答え:Dの方がCに比べて割れてもショート故障になり難い積層セラミックコンデンサです。
その理由は、CとDの外部電極の長さを比較するとDの方が短いためです。
最もクラック発生の原因であるプリント基板のたわみによる割れでは、クラックは外部電極端部を起点にクラックが発生します。
外部電極が短いほど、アクティブエリアにクラックが生じるリスクが低減するので、ショート故障のリスク=外部電極の長さになります。

外部電極が短い積層セラミックコンデンサを選びましょう。
いかがでしたか?
一度、積層セラミックコンデンサの断面研磨サンプルを作製して、内部構造をチェックしてみてはいかがでしょうか?

積層セラミックコンデンサの製造方法がわかる記事も書いています。より詳しく理解することが出来ます。

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