電流ヒューズとは
電流ヒューズは製品が故障した際に、製品が発火したりなど被害を広げないように守ってくれる自己犠牲の部品です。
安全に製品を使うためには無くてはならない電流ヒューズ
今回の記事は電流ヒューズの構造・作動原理を分かり易く解説しました。

技術者でない方でも、
電流ヒューズを理解できますので
是非、最後まで読んでくださいね。
電流ヒューズの構造
電流ヒューズには製品の種類(自動車、家電など)や電流値、電圧の種類などの条件に適合した種類があります。
今回は最も一般的な電流ヒューズ「ガラス管ヒューズ」を例にして、

ガラス管電流ヒューズ
ガラス管電流ヒューズは、ガラス管の中に「可溶体」と呼ばれる金属が入っています。
この「可溶体」がヒューズの肝となる重要な部品なのです。
可溶体は金属なので電気が流れやすく、温度が上昇すると溶ける性質があります。
製品が壊れてない時に可溶体に流れる電流値は低いので、可溶体の温度はさほど上昇しないのですが、製品が壊れて過大な電流が可溶体に流れると、可溶体の温度が一気に上昇し、溶ける温度(融点)を超えることで、液体になり表面張力の力が働き、丸い球状になることで、可溶体が断線します。
これが電流ヒューズの作動原理です。
金属は種類によって融点(溶けて液体になる温度)が異なります。
銀(Ag):960℃ 、アルミニウム(Al):660℃ 、鉛(Pb):327℃ 、錫(Sn):231℃ 、アンチモン(Sb):630℃ 、ビスマス(Bi):270℃ 、亜鉛(Zn):420℃ 、銅(Cu):1084℃
可溶体の金属にはこれらの金属や合金が使われています。
可溶体の金属の種類や太さの組み合わせによって、通電できる電流値が決まるのです。
ヒューズが断線(切れる)する原理
先ず、少し難しいと感じられるかもしれませんが、ヒューズが断線する原理を物理式を用いて説明します。
ちょっと難しいなーと思われる方は読み飛ばしてください。
後半に絵を用いて分かり易く解説していますので、そちらから読んで頂ければと思います。
ヒューズが断線する原理(物理式の解説)
抵抗値Rの導体に電流Iを時間t 通電すると導体は発熱します。
この発熱をジュール熱と言い、下式で表すことができます。
この式の温度Tが導体の温度になります。
ヒューズの可溶体も電気を通す導体ですから、この式をそのまま使うことができます。
可溶体の温度Tが可溶体の融点を超えると可溶体が溶けてヒューズが切れるのです。
この式からもわかりますが、最も可溶体の温度Tに影響するのは2乗で可溶体温度Tに影響している電流Iですね。
電流が高いほど可溶体の温度は急激に高くなります。
ヒューズが断線する原理(図解)
ヒューズ(可溶体)に電流が流れると可溶体は発熱しますが、可溶体は全体が同じように発熱しているのですが、実際は可溶体の中央が最も熱くなります。
可溶体の中央が最も高温になる理由は、可溶体の発熱と同時に可溶体の放熱が起こっているからです。
ガラス管ヒューズの両端には「口金」や「はんだ」のような熱伝導性の高い金属部品が多くあり、それらの金属部品は回路につながっています。
そのため両端は放熱性が高いので可溶体の両端は温度が下がってしまうのです。
対して、可溶体の中央は両端の金属部品からも遠く、放熱し難いために中央部が温度が高くなるのです。
そして、可溶体の中央部の温度が可溶体の融点を超えると、可溶体が溶けて液体になります。
液体になると表面張力が働き、球状になり始めます。
更に溶けて液体になった可溶体が球体になり大きなギャップが生じることで、アークも含めた通電状態を完全に断ち切ります。
これがガラス管ヒューズが断線する原理(メカニズム)です。


電流ではなく温度で断線する(切れる)ヒューズも存在します。
温度で断線するヒューズを温度ヒューズと呼びます。
温度ヒューズの種類や断線(切れる)原理も記事がありますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
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