ハード技術者必見! 電流ヒューズの不具合事例と信頼性

機器の異常時に発火発煙のような大きな事故にならないよう回路の守護神的な存在である電流ヒューズ。

電流ヒューズも製造上のバラつきや、様々なストレスによって故障することがあります。

 

走る園児
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今回は電流ヒューズを使う上で、知っておいた方が良いヒューズのトラブル事例とメカニズムを解説しますね。

ヒューズの断線故障

ヒューズは回路に異常な電流が流れた時に自らが切れることで製品が重大事故にならないよう守っていますが、異常な電流が流れていない正常な電流でもヒューズが切れる場合があります。

正常なヒューズの断線の原理

ヒューズが断線する原理は、導体に電流が流れると導体の抵抗により導体が発熱する(ジュール熱)ことを利用しています。

ヒューズ内の導体(可溶体)に異常な大電流が流れると、ジュール熱で可溶体が融点を超えると可溶体が溶けてヒューズが切れます。

これがヒューズが切れる原理です。(詳しくは↓の記事を読んでください)

このように異常な大電流が流れて断線した正常なヒューズの断線と別要因で断線した場合とではヒューズの切れる箇所や断線した状態を観察することで区別することができます。

 

正常な断線(大電流で断線)をしたヒューズの特徴

①断線箇所は可溶体の中心
②断線部の可溶体の先端は丸まっている。(溶痕)
走る園児
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溶けて無くなった可溶体の長さや溶け残った可溶体の溶痕の大きさで、どの程度の電流が流れたのかを判断することが出来ます。

電流が大きいほど溶けて無くなった可溶体の長さは長くなり、両端に残る溶痕は大きくなるのです。

通電ON/OFFの繰り返しによる断線

物体は温度が高くなると体積が膨張します。

ヒューズの可溶体も電流が流れるとジュール熱によって温度が上昇するので、体積が膨張し少し長くなります。

つまり、通電時には可溶体が長くなりたるんでしまいます。

今度は反対に、電流がOFFすると可溶体の温度は下がるので体積が縮小します。

つまり、非通電時にはたるんでいた可溶体がピンと張った状態にもどるのです。

電流がONとOFFを繰り返えすと、可溶体はたるんだりピンと張ったりを繰り返すことになり、可溶体を固定している両端の半田部に繰り返しの応力が加わってしまいます。

このような繰り返し応力が半田部に加わり続けた結果、最終的には可溶体が半田部で断線してしまいます。

電流のON/OFFの繰り返しで断線したヒューズの特徴

① 断線箇所は可溶体の付け根(半田部)
② 断線部に溶痕(可溶体が溶けて丸くなった様子)が無い破断面

もし、断線したヒューズが①②の特徴が一致する場合は、まず間違いなく原因は通電ON/OFFの繰り返しによる疲労破壊です。

通電条件やヒューズの選定を見直すと良いでしょう。

外部熱による断線

断線箇所が可溶体の付け根部(半田部)であっても、断線原因が通電ON/OFFの繰り返しではない場合があります。

この場合の破断部には溶痕(溶けて丸くなった状態)が必ず認められる特徴があります。

過剰な電流が流れて断線するような通常のヒューズ断線の場合には、可溶体の中央部が溶けるので、可溶体の中央部に溶痕ができますが、この場合溶痕は中央部では無く可溶体の付け根部(半田部)にできます。

このようなヒューズ断線はヒューズ自体の発熱ではなく、ヒューズの外の熱がヒューズに伝わった場合に生じます。

焼損した製品のヒューズが断線している場合、ヒューズの断線箇所と断線部を観察することで、過剰な電流によって断線したのか?それとも焼損した熱によってヒューズが断線したのか?を判断することが出来るのです。

外部熱によるヒューズ断線の特徴

① 断線箇所が可溶体の付け根(半田部)
② 断線部に溶痕(金属が溶けて玉になった状態)がある

ヒューズの経年劣化(信頼性)

あまり知られていませんが、ヒューズも劣化します。

新しいヒューズと長年使われ続けたヒューズとでは、断線し易さが異なり、長年使い続けたヒューズの方が新しいヒューズより断線し易くなります。

なぜ?長年使い続けたヒューズが断線し易くなるのか?

その理由は可溶体の材料劣化です。

可溶体は細かな金属結晶が緻密な状態で構成されているので強固なのですが、通電による発熱で可溶体の温度が高くなると、この細かな金属結晶同士がくっつき粗大化していきます。

粗大化した金属結晶は脆いため細かく緻密な可溶体に比べて断線し易くなるのです。

しかし、このヒューズの劣化モードはヒューズが切れやすくなる方向に劣化するので、製品としては安全な方向への変化なので一般的には許容されている場合が多いです。

問題になるとすれば、正常な電流しか流れていないのにヒューズが断線することが多くなるなど不要な断線のトラブルの原因となります。

エンジニア必須の携帯ルーペ

ヒューズの断線箇所や断線状態を観察するなどエンジニアであれば胸ポケットには携帯ルーペを忍ばせることを強くお勧めします。

携帯ルーペも100円均一で売っているようなものでは残念ながらレンズの明るさ(集光力)が不十分で正確で判断が難しいです。

もし、携帯ルーペ選びに苦労しているエンジニアがおれれましたら、私が長年使っている携帯ルーペを強くお勧めします。

一般のルーペに比べて高いですが、日本メーカのルーペと比べると全く別物のような鮮明で明るい画像に驚かれると思います。

良かったら是非、購入して試してみてください。

きっとエンジニア人生を一緒に歩んでくれるかけがえのない相棒になってくれると思います。

この記事を書いた人
走る園児

京都の国立大学工学部卒
22歳:東証一部上場の大手電機部品メーカに入社
29歳:開発部の管理職
35歳:東証一部上場の大手家電メーカに技術者として転職
 専門は電気、機械、金属材料、高分子材料、統計学
 学会・講演会なども活動。
 特に故障原因の解析が何よりの好物!!

ランニングが趣味の園児(エンジニア)です。

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