電気機器は電気を使うので最悪の場合には、火災になってしまうリスクがあります。
自分が設計した製品が燃えた場合、エンジニアがするべきことは何でしょうか?
それは、燃え残った残骸から発火源と発火原因を調べて、
二度と燃えないように対策することです。

発火原因を調べる知識やスキルは
エンジニアには必須の知識です。
重要な溶痕(ようこん)とは?
電線がショート(短絡)して過大な電流が流れ、一気に温度が上昇し、
電線(銅)の融点を超えると電線の一部が溶けて固まることがあります。
この電線が溶けて固まったあと溶痕(ようこん)と呼びます。
1次痕と2次痕の違いとは?
溶痕には2種類あります。
ひとつは火災になる前にできた溶痕(1次痕)
もうひとつは火災が起こった後にできた溶痕(2次痕)
です
火災が起こった現場で、燃え残った残骸の中から、1次痕が見つかれば、
2次痕なのかを見極めることで電気火災の原因を突き止める大きな手掛かりになります。

1次痕と2次痕の特徴を表にまとめたよ
1次痕(一次痕) | 2次痕(二次痕) | |
---|---|---|
火災の出火源で発生 | 火災が起こった後に火災熱により発生 | |
電気的な異常 (ショート、過電流など) | 火災の熱による損傷 | |
なめらかで光沢 丸く固まったような形 | 表面が粗く凸凹 | |
🧪 見分けるためのチェックポイント
位置関係を確認する
溶痕が火元に近い場所にある場合は要注意。発火源の可能性があります。溶け方の形状を観察する
- 丸みがあり、金属光沢が残る → 1次痕の可能性
- ゴツゴツ、泡状、酸化している → 2次痕の可能性周囲の炭化状態やススの付き方も確認
火災によるススが溶痕の上に積もっている場合、それは火災後=2次痕の可能性が高い。電線の接続部や圧着部などに注目
1次痕は、電気的に弱い部分(圧着ミスやゆるみ)にできやすい。
💡 よくある誤解
「全部の溶けた跡=1次痕」ではない!
火災現場で見つかった溶痕の多くは、実は2次痕です。原因を見誤らないためには、時間的な前後関係と形状の観察が不可欠です。
👨🔬 まとめ:溶痕を見極めることは「火災の真実」を知る鍵
電気火災の調査では、1次痕と2次痕を正しく見分けることが非常に重要です。
特に、1次痕が見つかった場合は、電気系統に起因する火災の可能性が高まります。
新人技術者や学生の方も、実際の現場や実験写真などを見ながら、形状や位置関係を観察する力を養っておくと、将来の現場対応に役立ちますよ。
🔗 さらに学びたい人へ
「火災原因調査マニュアル(消防庁)」
「電気火災における溶痕の形成メカニズム」
電線や電気火災に関する実験動画・事例集
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