水は私たちの生活や産業に欠かせない存在です。
しかし、水にはさまざまな種類があり、その中でも「高純度水」は特に重要な役割を果たしています。
今回は、高純度水の種類や違い、
それぞれの用途や注意点を詳しく解説します。
高純度水とは
高純度水は、通常の水道水や一般的な飲料水よりも不純物が極めて少ない水のことを指します。
高純度水は、特殊なろ過システムや蒸留法を用いて製造され、電子産業や医療分野などで使用されます。
水に含まれる不純物とは
水に含まれる不純物は以下のようなものがあります
- 金属イオン: 鉄、銅、ナトリウムなどの金属の微量成分
- 有機物: 植物や動物由来の微量な有機分子
- ガス: 溶け込んでいる酸素、二酸化炭素、窒素など
- 微生物: バクテリアやウイルスなど
- 塩類: 塩化ナトリウムや硫酸マグネシウムなど
これらの不純物は、水の電気伝導率、pH、味、臭いなどに影響を与えることがあります。高純度水の製造工程では、これらの不純物を徹底的に取り除くことが求められます。
高純度水の種類
- イオン交換水
- 純水
- 超純水
これら高純度水それぞれを詳しく説明するね
イオン交換水
イオン交換水とは、イオン交換樹脂を使用して水中のイオンを取り除いた水です。
イオン交換樹脂は特定のイオン(たとえば、カルシウムやマグネシウム)を吸着し、代わりに他のイオン(たとえば、水素イオンやナトリウムイオン)を放出します。
これにより、水中の硬度成分が取り除かれ、イオン交換水が得られます。
イオン交換水の主な特性
- 用途: ボイラー給水や工業用プロセスなど、多くの用途に使用されます。
- 純度: 純水や超純水に比べて低いが、硬度成分が除去されているため多くの用途に適しています。
純水
純水とは、不純物がほとんど含まれていない水のことです。
純水は、逆浸透、蒸留、イオン交換、紫外線処理などの複数の水処理技術を組み合わせて製造されます。
これにより、非常に高い純度の水が得られます。
純水の主な特性
- 電気伝導率: 0.1 μS/cm以下
- 用途: 科学実験、製薬、電子産業など、純度が求められる場面で使用されます。
超純水
超純水とは、純水よりもさらに高い純度を持つ水です。
超純水は、ほぼ完全に不純物が取り除かれた状態であり、通常は18.2 MΩ・cm(メガオーム・センチメートル)以上の抵抗率を持ちます。
超純水の主な特性
- 電気伝導率: 0.055 μS/cm以下
- 用途: 半導体製造、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーなど、極めて高い純度が要求される場面で使用されます。
超純水の注意点
超純水は非常に高い純度を持つため、取り扱い等に注意が必要です。
①化学反応性
超純水は非常に反応性が高いです。
純度が高いため、他の物質と接触すると化学反応が起こりやすく、腐食や劣化を引き起こすことがあります。
恒温恒湿槽の加湿水に超純水を使うと恒温恒湿槽の水回路を腐食させるリスクがあるので取説に使用禁止と記されています
②保管の難しさ
超純水は、保管や取り扱いの際に非常に注意が必要です。
水道水のように消毒剤は含まれていないので、水が腐り易く、長期間の保管には適していません。
また、超純水は化学反応性が高いので、保管する容器や配管は耐腐食性の高い材料を用いることが大切です。
③人体への影響
超純水は純度が高すぎるため、人体に直接摂取するのは適していません。
必要なミネラルが含まれていないため、長期間摂取するとミネラル不足になる可能性があります。
高純度水の比較
電気伝導率
電気伝導率(Electrical Conductivity, EC)は、物質がどれだけ電流を通す能力があるかを示す指標です。単位はジーメンス(Siemens, 記号: S)で表されます。物質の電気伝導率が高いほど、電流を通しやすいことを意味します。
基本的な考え方
電気伝導率は、電気抵抗(Resistance)の逆数として定義されます。抵抗が小さいほど、電気伝導率は高くなります。電気抵抗は物質が電流の流れに対抗する度合いを示します。
抵抗率
抵抗率(Electrical Resistivity, ρ)は、物質がどれだけ電流の流れに対して抵抗するかを示す指標です。単位はオーム・メートル(Ω・m)で表されます。抵抗率が高いほど、物質は電流の流れを妨げる力が強いことを意味します。
基本的な考え方
抵抗率は、物質の電気抵抗(Resistance)とその形状に依存します。特に、抵抗率は物質の長さに比例し、断面積に反比例します。
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