銀のアクセサリーをしたまま、温泉に入ると温泉に含まれる硫黄と銀が化学反応して、
アクセサリーが黒く変色してしまうことはよく知られています。
温泉だけではなく、段ボールや紙も温泉と同じように銀のアクセサリーを黒く変色させてしまう硫黄系のガスが出ています。
段ボールや紙から発生する硫黄系ガスは温泉に比べて微量ですが、
蓋を閉じた段ボール箱の中はガスが抜けることなく充満し続けるために段ボール箱の中は温泉と同じような環境になるため、段ボール箱の蓋を閉じて銀のアクセサリーを長期間入れておくと硫化がすすんで黒く変色してしまいます。
段ボール箱には銀のアクセサリーはもちろんですが、金属が含まれるものを入れて保管しないように注意しましょう。
なぜ?段ボールや紙から硫黄系ガスが発生するのか?
段ボールや紙を製造する過程で使った硫黄系の薬品が段ボールや紙には残っているからです。
段ボールや紙から硫黄ガスが発生する理由は、段ボールや紙を製造する方法を知ると理解できます。
木材から紙や段ボールを製造する方法を説明するね
段ボールや紙の製造方法
1. 木材の収集とチッピング
まず、森林から木材を収集し、適切なサイズに切り出します。
その後、木材をチッピングマシンで小さなチップにします。
2. 木材チップをパルプにする
パルプは、木材に含まれる繊維(セルロース)を塊したもので、ふわふわした白い物質です。
パルプの製造方法は機械パルプと化学パルプの2種類あり、それぞれの製造方法のパルプで作られる紙はことなります。
機械パルプ
木材チップを機械ですりつぶして作ったパルプは機械パルプと言いますが、繊維は剛直なので主に新聞紙を作るのに使われています。
機械パルプは硫黄系の薬品は製造過程で使っていないので、機械パルプで作られた紙(新聞紙など)からは硫化ガスは発生しないので銀のアクセサリーを硫化させることはなく安全です。
ただし、リグニンと呼ばれている木材に含まれる繊維(セルロース)の接着剤はプラスチックを黄色く変色させることもあるので、注意してください。
化学パルプ
化学パルプは、木材チップを硫黄系の薬品(硫化ナトリウムなど)で処理して繊維の接着剤であるリグニンを分解して、繊維を細かく分離します。
分離した繊維に残ったリグニンの分解物などの不純物を洗浄し、漂白します。
漂白でも硫黄系の薬品(二酸化硫黄など)が使われます。
化学パルプは機械パルプに比べて、強度が高く、品質の良いパルプですが、分解と漂白に硫黄系の薬品が用いられるため、硫黄系のガスが出る欠点があります。
段ボールの製造方法
段ボールは強度と耐久性が求められるため、化学パルプと機械パルプを組み合わせて製造されます。
化学パルプが使われているので、段ボールには硫黄系のガスが発生するのです。
段ボール以外の化学パルプで作られている紙
化学パルプを使って製造される紙は、強度が高く、質感が滑らかで、色の均一性が優れた特徴を持つ紙です。
以下のような種類の紙が化学パルプを使って製造されます
- 高級印刷用紙 – 本や雑誌、ポスターなどの高品質な印刷物に使用されます。
- 包装紙 – 包装紙や高級ギフトラッピングに使用されることがあります。
- コピー用紙 – 普段のオフィス作業や家庭用に広く使われる、一般的なコピー用紙。
- トイレットペーパー – 柔らかさと吸水性が求められる製品にも化学パルプが使われています。
段ボールから硫黄系ガスが出ないようにする対策
新しい段ボールほど、硫黄系のガスが多く発生しますが、長期間使った段ボールは硫黄系ガスの発生はとても少なくなっています。
段ボールから硫黄系ガスが出れば、段ボールの中に含まれる薬品も減っていくため、古い段ボールからはほとんどガスが出ません。
ガスは温度が高いほどで出やすくなりますので、夏の暑い日に新しい段ボール箱を天日干しすることで、ガスのほとんど出ない安全な段ボール箱に変えることが出来ます。
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