熱電対(ねつでんつい)
多くのエンジニアが一度は使った経験があるのではないでしょうか?
今回の記事は熱電対について分かりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んでくださいね
熱電対とは?
見た目はただの電線ですが、電線ではなく温度センサーです。
普通の電線は銅線が2本入っていますが、
熱電対には違う金属の線が2本入っています。
これが熱電対と電線の大きな違いです。
熱電対のセンサーはどこ?
ただの電線のような熱電対はどこで温度を検知するか?
2本の金属線の先端を接触させることで、接触した箇所がセンサ部になります。
熱電対を使って温度を測定する場合、熱電対のセンサー部(2本の金属線の先端を接触させたところ)を測定したい箇所に密着させることで温度を測定できます。
「センサー部」を作製する方法を3つ紹介します。
熱電対「センサー部」の作り方
金属線を捩って接触 <お勧め度:30%>
2本の金属線の先端を指で捩ってセンサー部を作製します。
センサー部は捩った箇所全体では無く、2本の金属線が最初に接触した点です。
捩って作製する方法はお手軽なので、とても便利なのですが、測定中に金属線が解けてしまうリスクがあります。
金属線が解けてしまうと温度が検知できなくなるので、捩る回数を増やして解け難くすることは出来ますが、捩り部全体熱容量が大きくなるので、温度計測の反応が鈍くなってしまいます。
温度変化が速いものの温度を測定するには、センサー部の熱容量はできるだけ小さい方が望ましいのです。
捩る方法で作成した熱電対は、ゆっくり温度が変化するようなモノの温度を測定する場合は使えるけど、解けるリスクがあるので測定のやり直しができない重要な温度測定では避けた方が良いです。
捩って半田で固定 <お勧め度:70%>
金属線を捩ってままでは解けるリスクがあるので、捩った箇所に半田付けをして固定する方法もあります。
半田付けをしておけば、ほぼ解けてしまう心配はありません。
余分な箇所もカットすれば、センサー部の熱容量も最小限にすることができるので、温度変化が早いものを測定することもできます。
一つだけ注意があります。
半田の融点(鉛フリー半田は約220℃、鉛半田は約180℃)を超える温度になると半田が溶けてしまいます。
半田で固定する場合は
半田の融点を超えないように注意してください。
溶接で固定 <お勧め度:100%>
金属線は捩るのではなく溶接がお勧めです。
溶接であれば解けてしまう心配から解放されます。
溶接部の融点も気にする必要はありません。
熱電対用の計測器とは
溶接などで処理したセンサー部とは反対の電線は計測器に接続します。
熱電対に使用できる計測器は次のようなものがあります。
データロガー
時間の経過に伴う温度の変化を連続的に記録する場合に使用します。
熱電対温度計
センサー部の温度を表示&記録する計測器です。
温度コントローラ
センサー部の温度をモニターし、設定した温度になるようにリレーなどの開閉を自動で制御します。
計測器への接続
熱電対には+(プラス)極とー(マイナス)極があり、
計測器の接続端子にも+極とー極があります。
熱電対の極と計測器の接続端子の極が同じになるように接続しないと正しく温度が測定できません。
熱電対の種類
熱電対には金属線の種類の組み合わせの違いによって、測定できる温度範囲が異なったりと様々な特徴があります。
代表的な熱電対の種類を下表に記します。
熱電対の+極とー極の見分け方
一般に熱電対の+極とー極は、被覆の色で判別することができます。
代表的な熱電対の型の+極とー極の被覆の色は下表です。
ただし、これらは一般的な色分けです。
製品やメーカーによって異なる場合がありますので、あくまで参考です。
その熱電対のメーカーに確認するようにしてください。
計測器の+端子とー端子を逆に接続したらどうなるの?
もし、間違って逆に接続しても計測器が故障することはありませんが
正確な温度が計測できなくなります。
正しく接続したかどうかを簡単に確認する方法
正しく接続できているかどうかを
簡単にチェックする方法を紹介します。
熱電対のセンサー部を指でつまんで計測器の表示温度を確認するだけでチェックできます。
指の温度(体温)は約37℃ですから、気温よりも温度が高いので、指で熱電対のセンサー部をつまむと温めてられて温度が上昇します。
しかし、計測器の接続端子を逆に接続すると計測器の表示値は必ず下がります。
指でつまんで温度が上昇すれば正しい接続です。
反対に温度が下がれば間違った接続です。
節約の味方! 補償電線とは?
熱電対は普通の電線と比べると高価なので、できるだけ長さは短くしたいけど、長くないと届かない。。。
また、熱電対は機械強度が弱いので、繰り返しの屈曲にはもあまり強くありません。
こんな悩みを解決するのが、「補償電線」です。
補償電線は、熱電対と温度計測器との間を接続するための専用の電線であり、
熱電対に比べて安価なので、高価な熱電対は短く、安価な補償電線を長くすることで、トータルコストを下げることができます。
熱電対の原理
異なる金属線の両端を接触させた接点に温度差を与えると、金属の間に電圧が発生するという物理現象を利用しています。
この物理現象のことをゼーベック効果といいます。
熱電対が異なる金属線で構成されているのは、このゼーベック効果を得るためなのです。
電圧の大きさは金属の種類(熱電対の種類)と温度差で決まるので、電圧を測れば温度差がわかるというわけです。
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