カラフルなライン模様が入っている部品といえば、
リードタイプの抵抗器ですね。
見た目は同じようなリードタイプの抵抗器でも
材料や工法の違いにより4種類に分類されることをご存じでしょうか?

走る園児
今回の記事ではリードタイプの抵抗器の種類や構造、
特徴について分かりやすく解説したいと思います。
炭素皮膜抵抗器(カーボン抵抗器)
抵抗値を作り出す材料に炭素(カーボン)を使っている抵抗器です。
一般的には安価なので最も広く使用されている抵抗器です。
炭素皮膜抵抗器の利点
1. コストが低い
- カーボン抵抗器は製造コストが低いため、非常に安価です。大量生産される電子機器や一般的な家電製品で最も使用されています。
2. サイズのバリエーション
- カーボン抵抗器は様々なサイズのバリエーションが豊富です。回路のスペースや設計要件に応じて自由に選択することができます。
炭素皮膜抵抗器の欠点
1. 耐熱性が低い
- カーボン抵抗器は高温に弱く、熱によって抵抗値が変化することがあります。特に長時間高温の環境にさらされると、抵抗値が変わり、性能が劣化する可能性があります。
2. 精度が低い
- カーボン抵抗器は他の抵抗器に比べて、抵抗値の精度が低いです。製造過程でのばらつきも大きいため、精密な回路には不向きです。
3. 温度係数が大きい
- 温度係数が大きいため、温度変化により抵抗値が大きく変わることがあります。温度の変化による影響が大きいので、安定性が要求されるアプリケーションには不向きです。
4. ノイズ生成
- カーボン抵抗器は、内部のカーボン粉末の摩擦によって、電気的なノイズを発生することがあります。このため、オーディオ機器や高精度な信号処理回路では避けられます。
5. 高電力耐性が低い
- カーボン抵抗器は、高い電力(ワット数)を扱うのに適していません。電力が大きいと発熱が大きくなり、抵抗値が変化することがあります。
6. 寿命が短い
- 長期間使用することで抵抗値が変化しやすく、寿命が短いです。特に高温や高電力の条件下では劣化が早く、信号品質や回路の安定性に悪影響を与えることがあります。
7.電蝕断線が起こるリスクがある
- 海水などイオン性物質がカーボン抵抗器の表面に付着すると、内部にしみ込み電気化学的な反応により抵抗体が腐食して消失します(電蝕断線)。
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金属皮膜抵抗器
抵抗値を作り出す材料にニッケルクロムなどの金属を使っている抵抗器です。
炭素皮膜抵抗器よりも抵抗値のバラツキが小さく高精度な抵抗です。
金属皮膜抵抗器の利点
1.高精度
- 金属皮膜抵抗器は、許容誤差が非常に小さく、通常は±1%や±0.5%といった高い精度を持っています。これにより、設計者は正確な抵抗値を提供することができ、精密な回路設計が可能になります。
2.優れた安定性
- 温度変化や時間経過による抵抗値の変化が非常に少ないです。これにより、長期間にわたって安定した性能を維持でき、信頼性の高い動作が保証されます。
3.低温度係数
- 温度変化に対する抵抗値の変化(温度係数)が小さいため、温度変化による影響が少なく、より安定した動作が得られます。
4.高い耐電圧性
- 金属皮膜抵抗器は、一般的に高い耐電圧性を持っており、高電圧環境でも安全に使用できます。
5.低ノイズ
- 金属皮膜抵抗器は、一般的に低ノイズ特性を持っており、信号に対するノイズの影響を最小限に抑えることができます。
6.広い周波数特性
- 高周波の信号にも対応できるため、通信機器や高周波回路などでも使用されます。
7.小型化
- 金属皮膜抵抗器は、比較的コンパクトなサイズで提供されるため、スペースの制約がある回路でも使用することができます。
金属皮膜抵抗器の欠点
1.コスト
- 金属皮膜抵抗器は製造工程が比較的高価であり、他の種類の抵抗器(例えば、炭素皮膜抵抗器)に比べてコストが高くなることがあります。このため、コストが重要なプロジェクトや大量生産では不利になる可能性があります。
2.耐熱性
- 高温環境下での性能が制限されることがあります。高温にさらされると、金属皮膜が劣化する可能性があるため、過酷な温度条件下での使用には適さないことがあります。
3.高電力密度の制限
- 高い電力を処理する際には限界があり、特に高電力の用途では、適切な放熱対策が必要です。電力密度が高いと、性能が劣化したり、寿命が短くなったりすることがあります。
4.衝撃や振動への耐性
- 金属皮膜抵抗器は、衝撃や振動に対する耐性が限られることがあります。特に振動や衝撃の多い環境で使用する場合には、物理的なダメージに対する配慮が必要です。
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メタルグレーズ皮膜抵抗器
抵抗値を作り出す材料に金属とガラスの混合物(メタルグレーズ)を使っている抵抗器です
メタルグレーズ被覆抵抗器の利点
1.高耐久性
- 腐食や酸化に対して非常に強いガラスと金属酸化物の混合物が抵抗体なので耐久性が高いのが特徴
2.高信頼性
- 長期間にわたって安定した抵抗値を維持し、経時変化が少ないため、信頼性が求められる用途に適している。
3.高温特性
- 高温環境下でも安定した性能を発揮し、温度変化に対する抵抗値の変動が少ない
4.サージ耐性
- 急激な電圧変動やパルスに対しても強く、過酷な環境下でも使用可能
5.広範な抵抗値範囲
- 非常に高い抵抗値から低い抵抗値まで幅広い範囲で製造可能。
メタルグレーズ被覆抵抗器の欠点
1.コストが高い
- 他の種類の抵抗器に比べて製造コストが高いので、相対的に他のリードタイプの抵抗器の中では高価
2.絶縁破壊
- 過電圧が印加されると、一部の絶縁粒子に負荷が集中し、局所的な絶縁破壊を引き起こす可能性がある。
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酸化金属皮膜抵抗器
酸化金属皮膜抵抗器(サンキン抵抗)は、セラミック基体の表面に酸化スズなどの酸化金属を用いて抵抗体とした抵抗器です。
酸化金属被覆抵抗器の利点
1.耐熱性
- 酸化金属皮膜が燃焼しないため、高温環境でも安定した性能を発揮します
2.耐パルス耐サージ性
- 急激な電圧変動やパルスに対しても強く、過酷な環境下でも使用可能
3.中電力対応
- 1W~5W程度の中電力用として広く使用されており、コストパフォーマンスに優れています
4.小型高電力
- 定格電力当りの体積が抵抗器の中で最も小さいため、スペース効率が良いです
酸化金属被覆抵抗器の欠点
1.精度の低さ
- 金属皮膜抵抗器に比べて、精度が劣ることがあります
2.温度特性の劣化
- 温度係数が高く、温度変化に対する抵抗値の変動が大きいです。
3.経年劣化
- 長期間使用すると、抵抗値が変動することがあります
4.発熱
- 高電力がかかると発熱し続けるため、実装時には周囲の部品や配線の温度管理が必要です
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